安全に電子工作をするために

前書き

このドキュメントでは、主に電子工作の入門者向けに、事故を起こさない最低限の知識とチェックリストを得るために書かれています。 事故を起こさないための最低限の行動を体得するには、それなりに失敗を繰り返さなければなりませんが、もし失敗しても大事故に繋らないことが大切です。

生死に関わる事故を防ぐ

電気を扱う上で怖い事故は以下2つです

いずれも、もし発生すれば直ちに生死に関わるものですので、これらは必ず回避しなくていはいけません。

回路に電源をいれる前のチェックポイント

  1. テスターを導通チェックのモードに設定します ( ビープ音がなるモードがおすすめです)。 回路のプラス極とマイナス極にテスターをあて、導通(ショート)していないかを確認します。もし導通している場合には、電源を入れる前に基板を確認する必要があります
  2. 電源回路の電圧が適切かを確認します
  3. ヒューズ・ポリスイッチ・電流制限回路のいずれかが電源側に存在することを確認します。CV/CC 安定化電源の場合、回路規模にあわせて最大電流を設定します
  4. 電源供給線に電流計を接続します
  5. 電源をオンにします
  6. 電流計を確認します。設計より大きな電流が流れている場合には即座に電源をオフにして、実装・設計を確認します。
  7. 電源がオンの間は、五感を使って回路の異常を確認します。臭いや煙があった場合、発生元を特定します。過度の発熱がないか各部品を触って確認します。

事故を防ぐヒント

商用電源を扱わない

ほとんどの場合、商用電源に直接繋ぐ回路をつくる必要はないはずです。市販のACアダプターが利用できるなら利用しましょう。micro USB 端子で電源供給をうけるのもお手軽で便利な方法で、よく使われています。

熱圧縮チューブ

もしある程度高圧を扱う必要がある場合には、不用意に触れないため、配線の露出ポイントをすべて絶縁するようにしましょう。熱圧縮チューブを使うのがお手軽です。ビニールテープや自己融着テープという手もありますが、少々扱いが難しいのでおすすめではありません。

ヒューズ

ヒューズは最も基本的な安全素子です。ヒューズは一定の電流を超えると、その発熱で自身が破壊されることで回路を切断します。一般的なヒューズは一度破断すると交換が必要ですが、ポリスイッチという何度でも使用可能なヒューズもあります。交換が難しい箇所や低圧側で実装する場所がとりにくい場合ポリスイッチが便利です。

CV/CC 安定化電源

実装した回路にまず最初に繋ぐ電源は、CV (Constant Voltage/定電圧)、CC (Constant Current/定電流)方式安定化電源を使うことをおすすめします。定電流機能により最大電流を設定するという使い道ができます。つまりヒューズと同様に定電圧源の過電流保護を行うことができます。

ブレーカー付きコンセント

市販のマルチタップにはブレーカーを内蔵しているものがあります。短時間のショートが発生した場合には有効なため保険に入れておくと良いでしょう。 ただしマルチタップ内蔵のものは許容電流が大きく、許容電流を超えても即座に遮断されるわけではありません。よって小電力回路のヒューズの代わりにはなりませんので、あくまで保険ということに留意し、必ず別の手段と併用しましょう。

タイマー付きコンセント

市販品には一定時間後に自動的に電源が切れるタイマースイッチ付きコンセントがあります。はんだゴテや試作中のものなど、電源を切り忘れて困るものにつけておくと保険になります。